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美術家/若林 薫                                      

わかばやし   かおる
 若林 薫
2021/10~2022/2 制作作品




 あした吹く風  S3   アクリル画 

今日はほんの少し悩みの中で 生きてしまいました
そんな時 背中を押す励ましの風がある 母の優しいてのひらに似た風が吹く
あたたかみのある風に あしたは頑張ろうと思う
目指して来た事につまずいて 夢やぶれ 彷徨い歩いた夜の街で  
父の分厚い手の力強さを思い出し もう一度試してみようと決意する

 あした吹く風を 希望が叶う 約束の風にする為に



 そよかぜ  S3   アクリル画 

やさしい5月の花の香りと一緒に あなたは また ときめきを届けてくれました
愛しい人の透き通るエメラルド色の眼差しに

射抜かれて胸の痛みと鼓動は 高鳴り続けるばかりです
そよりと吹く風に 花びらの様な髪が 右に左にゆれ ワンピースの裾も
風を受けて ふわりふわりと 軽やかなリズムで踊っています
春の終わりの白雲は 恥ずかしそうに去って行き
夏を待つ太陽は 晴れわたる空の中で
 キラキラと輝いています
真一文字に結んだくちびるは 心の奥に秘めた強い意志を感じます
去年の5月のあなたより 今年の5月のあなたは
美しさがあふれ 少しおとなの匂いがします


 空にいちばん近い村  S3   アクリル画 

緑深き山の頂に 空にいちばん近い村が有ります
その頂のわずかに開けた平らな土地に 昔から7軒だけの古い民家があります
その数は 増えることも減ることもありません
誰かが居なくなると
 その家に誰かが帰り来て住み続け 営みは永々と続くのです
この村には刻を知らせる鐘の音はありません
太陽の動きと月の満ち欠けだけが 時間と季節の移ろいを教えてくれます
村人達は みんな無口で 穏やかで 物静かな人々です
村の住人の数は いつも どんな時代も 11人と決まっています
村人の多くは長生きです
今は105才のおばあちゃんが最高齢です
腰も曲がり杖もついて 白い長い頭髪は 魔法使いの風貌そのものです
若者達は 皆この村を離れていきますが
去年 空き家が出来 村人は9人になってしまいました
そこへ若い夫婦が帰って来ました
更に来年の春には村にとっては37年ぶりに 待望の赤ん坊が生まれる予定です
誕生の喜びの知らせは  その前に どこかの家の住人が
ひとり居なくなる別れの知らせでもあります

youtube 「空にいちばん近い村」

 染まる  S3   アクリル画 

朝な夕なに輝く太陽は 一日の活力を運んできます
街路樹のプラタナスや 道端の小さな花と虫達にも エネルギーを注ぎます
夕暮れの時には 万物を茜色に染め 一日の行いを労ってくれます
西空の白鳥は オペラレッドに塗り替えられ
家路に着く私は 幸せ色に染まります  


 ムービングチャペル  S3   アクリル画 
教会も出前サービスをする時代になりました
冠婚葬祭 何でも受付いたします
どこよりもお安く しかも安全安心の当教会をご指名下さい
都心の交通渋滞の時も遅刻なしでお伺い出来ます
遠隔地の人里離れた空地や離島の小さな丘へもひとっ飛びです

ご用命は下記のメールアドレスまで  一同ご連絡お待ち申し上げております

メールアドレス ○○○○@○○○○
ケイタイ    090○○○○○○○○
担  当    Kaoru Wakabayashi




 ドキドキ  S3   アクリル画 

人物を想起させる人影を 幾何形態の円や方形で表現しています。
題名の「ドキドキ」は 初対面の人の前で高鳴る動悸も有れば 読書しその場面を
想像して息苦しくなる時も有ります

この作品は 両手を大きく広げて「かかし」の様に ポーカーフェイスでじっと立って
いますが 本心はハラハラドキドキの自分がそこに居る様子を描いています



コスモスタウン  S3   アクリル画 
宇宙を一直線に旅する銀色の船 内部はとても快適な空間です
重力をほとんど感じ無い浮遊した生活環境です

食糧も水も自給自足です
植物達は細長い根を空間に伸ばし 浮遊する水玉や人々が排泄する二酸化炭素や
空間に漂う微細な菌類を養分として成長します
人間はその野菜を食し 残飯は船外へ廃棄します

宇宙空間には カラスに似た真っ黒い怪鳥が居て
それらを何ひとつ残さずたいらげてしまいます
地球を飛びたって20年以上掛けて 太陽系をやっと脱出です
銀河の中心までは あと3万光年それから
5万光年を費やして 銀河を抜け出す事が出来ます
船内に住む私達は宇宙時間の中に居るので 歳を取る事はありません。

youtube 「コスモスタウン」

  ゆらぎ  S3   アクリル画  
真夏の逃げ水は 近づけば遠ざかる 砂漠の蜃気楼(しんきろう)です
この夏が終わるまでに
 心の在処(ありか) 見つけようとしたのに
あなたの事も 自分の事も (つか)もうとしてめないまま
時は過ぎてしまいました
何もかもが(わか)らなくて 気持ちはぐらりと 揺らいでしまいます
沈む夕陽に 立ちのぼる情熱も色あせてこの世の終わりとなげき悲しみ
陽炎(かげろう)は身をよじりながら 姿を(かく)します
定まらぬ思い 夕暮れのゆらぐ水面
人の心の(うつ)ろいを 知る事になりました 

   ぷらぶら  S3   アクリル画  
あなたが生まれて間もない頃 3人でよく散歩したことを 憶えていますか?
のどかな春の日 近くの公園へ行き 陽当たりの良い芝生の上で
ささやかなお弁当を広げておいしく頂いたこと。

自転車での3人乗り 川の土手をサイクリングしたこと。
川原に降りて石投げをしたことを 憶えていますか?
路地を歩いていた時 小犬に吠えられ 大声で泣いたこと・・・。
みんなみんな遠い昔のことですから それをあなたが覚えているなんて
無理な話しかもしれません・・・。
誰かの心の中にある思い出を作品にしてみました。



   風の町  S3   アクリル画 

緑味色の風が吹く日に
 蜃気楼にも似た 風に乗った町がやって来ました。
初めて目にしたその町の様子は 建物の全てが深い緑味色した青でした。
玄関のドアも ベランダの窓も そして屋根も
みんなヴィリディアン色に染まっていました。
その町は 空中を素早く動いたりじっと止まって

こちらを見つめているような時もありました。

そんなに長い時間見えるわけではありませんが

数年に一度地面と空気の温度差が大きい時に現われ
その時は いつも決まって緑味色の風が吹くのです。
そして 今まで聞こえていた周りの音は 全く消えてしまいます。
風は過去に7回吹きました。
その時は 良い事も悪い事も いつもの年よりたくさん運んできます。
今年は数年に一度の年に当たりますが 今のところまだの様です。 

youtube 「風の町」

  ふたり  S3   アクリル画
買物に出掛けたり 一緒にコンサートへ行ったり
美術館での名画鑑賞をしたり 恋の話しや悩みごとの相談にのったり
何でも互いを受けとめてくれる 仲良しの 母と娘、姉と妹、
そして幼なじみの友達同士
心が優しく通い合う間柄
悲しい時は 一緒に泣いて 楽しい時は 大声で共に笑い
くじけそうになった時は そっと背中を押してくれる そんなふたりです
いつまでもどこまでも 仲良しでいて欲しい
希望と願いを込めてあなたへ この絵を贈ります


  Home Town  S3   アクリル画 
ふるさとは城下町です
海に突き出た岩場が お城の土台になっています
東と北と南面が海に接し 西側はお堀を設けて敵の侵入を防げる様になっています
城下町のはずれに私の生家が有ります
町で一番小さな傾きかけた家に 年老いた母がひとりで暮らしています
間もなく90才になります
今年は時間を作って 帰省しようと思っています



  野辺の鳥  S3   アクリル画 
長身でイケメンのクロツグミは
野原の梢で知り合った年端もゆかぬコマドリに声を掛けます
「今度の日曜日モールへ買物にいってみないか?」と。
知ったかぶりのクロツグミは 町へはもう何度も行った事が有ると言うのです
あそこのレストランの何々はうまいとか
四つ角のカフェのパンケーキは評判程ではない。とか・・自慢げに話します
駅前通りの昔からの喫茶店の方が 僕はおいしいと思うなどと言って
コマドリの娘をデートの誘います
君をどこだって案内するよ 君も聴いたことが有ると思うけど
その店は僕の行きつけのブティックで オーナーとも顔見知りなんだ。
君に似合う洋服を選んであげるよ あの町の知らない所は何ひとつ無いから。と
大きな事を言ってしまいました
彼女も悪い気がしなくて頬を赤く染めながら
その誘いについ軽くうなずいてしまいました。
出会ったばかりのちょっといかれたクロツグミの若者に
ケイタイの番号もメールアドレスも 教えてしまいました。 



Window Shopping  S3   アクリル画 

そしてついに日曜日の朝がやってきました
この日は2人とも早起きをして 目いっぱいのオシャレをしました

それでもどこかアカ抜けない2人でした
町へ出掛けたものの ただただ大きな目を パチクリパチクリするだけで
どの店に入ったら良いものか解りません
クロツグミも大きな事を言った以上 なんとかしなければと思うけれど
気持ちばかりがあせって入る店も決まらず 店先を歩き廻っているだけでした。
知ったかぶりの彼も黙り込んでしまい 
何が何だか解らないまま疲れはててしまい元気を無くしてしまいました。

コマドリも初めて履いたハイヒールで まめが出来てしまいはだしになりたい
気持ちでいっぱいでした。
それでも頑張って町はずれの公園まで歩き
桜の小枝に腰かけて缶ジュースを飲みながら 
2人で顔を見合って大声で笑いました。

ウィンドウショッピングで終わってしまった 
初デートでしたが何だかとても楽しい一日でした。 

次のデートの約束もしっかり交わし これからもよろしくと手を振って
それぞれの家路につきました。

コマドリは初めて知った町の様子に感動し 
クロツグミに感謝のメールを送信しました
今夜はぐっすり眠れそうです・・・。



夢の窓口  S3   アクリル画 
空は晴れてお日様も優しく微笑んでいます
並木道の散策は気持ちの良いものです
丘の上の教会へ続くまっすぐな道の両側には 細い脇道が何本かあります
その道の先は 並木の根元へ延びていて 根元には更に奥へと誘なう
入口が開いているのが見えます
どんな夢も叶えてくれる入口なのです

道案内の看板も立っていますが もし 入り口で迷った時は
チャペルの「夢の窓口」に相談してみて下さい
全ての出入口の詳細な情報と内部の様子は 「夢の窓口」が持っています

例えばあなたが進学や就職などの進路に迷った時は
教会から見て左手2番目の入口を選べば良いでしょう
又 異性の事や結婚の事について考えているのなら
右側の一番手前の道を進めばきっと思いは叶うはずです
更に壮大な計画を企画している様でしたら 左手3番目の入口へと進んで下さい

当教会も全力でサポートさせて頂きます
これからの地球環境や平和な社会 それに安定した世界経済などに興味をお持ちなら
是非 「夢の窓口」へ足を運んでみて下さい



リアルタイム  S3   アクリル画

極北の地に居ても 水深2000Ⅿの深海に居ても 世界中どんな場所に居ようとも
瞬時に物や情報を手に入れる事が出来る現在
人工衛星を介して情報は伝達され昼夜問わず洪水の様に流れ込んできます

物流も人の移動も航空機を利用する事で
一昼夜もあれば遠く離れた異空間へ運ぶことが出来ます
地上400㎞秒速8㎞で飛行する宇宙ステーションで暮らす人達は
45分ごとに昼と夜を経験すると言われています

地上に居る私達は 朝日を拝し
夕日に一日の感謝をする夜には家族の団欒の時間が有り
明日に備え 眠りに就く一日24時間が 常識と思っていましたが
時間の認識や概念が意味を なさなくなっているのかもしれません

距離や時間は驚くほど短くなり その場所を訪れなくてもリアルタイムで
事物を知る事が出来る様になりました
文明は更に更に発展し続け時間と空間はもっと短いものになって行くと思います

唯 それと反する思いの人達も 大勢出現する事も予想できます
たった今 すぐそこで起きていて 手に取るように伝わる出来事は
実を言うと 遠い遠い地球の裏側の国の事なんです
そんな事を考えながらこの絵を描きました


you tube 「リアルタイム」

 Paper town  S3   アクリル画

街は膨らみ続け 建物や道路は空地を見つけ 水平方向へと広がり
地面の少ない都市部では 上へ下へと垂直に伸びて 超高層ビル群を 創り出しています

厚さ15㎝程のコンクリート壁で 造られた街
いかにも堅牢に見えるけれども ひとたび大地が大きく揺れたなら
アスファルトの道はめくれ  砂利道とぬかるんだ泥道に化してしまいます
鋼の橋も鉄の軌道も曲がりくねって 
しばらくの間は使うことが
 出来なくなってしまいます
又2㎜程度の薄い鉄板の車体に預けた命は 危険な状態にさらされます

どんなに文明が進んでも 地球の表面で暮らす私達の街は
まるで薄い紙で出来ているかの様です

台風やハリケーンの大風の前では 簡単に飛ばされてしまったり
まとまった大量の雨に降られたら ひとたまりもなく押し流されてしまい
海や川に向って どんなに高い堤防を築いたとしても
それを乗り越える波はやって来ます
そして その都度多くの犠牲者が発生します

国や自治体も企業の技術者や研究者も こうした事態に対応出来る街創りに努力され
そのご苦労は 並々ならぬものが有ると思います
これからも安心安全な街創りに務めて頂ければ大変ありがたいです

そして そこに住み 様々な建造物や乗り物を 利用する私達も常に安全を心掛け
生活しなければならないと思いながら この作品を描きました



 Bus stop   S3   アクリル画
小さな田舎町のバスストップ そのバス停に佇めば 何でもどこまでも
人も荷物もあなたへの想いも運んでくれます
小さい乗合バスは未来へと子供達を誘います
この田舎町のバスストップには 大きなカバンに思い出を
いっぱい詰めた人も降りてきます
かつてこの街に住んでいた人かもしれません
何も変わらない景色と変わらない人々 大人達を過去へと連れてきます

you tube 「Bus stop」

 私鉄沿線   S3   アクリル画
都心から電車で40分 私鉄グループが開発した住宅地は
きれいな道の両側に オシャレな家々が建ち並び 駅前の小さな商店街と
そこから少し離れた場所に ショッピングモールも出来ています。
学校も病院も建ち、インフラも整った 夢の様な町です。
小高い丘に計画的に緑を残し 春や秋には、
色付いた山肌を
 見る事が出来ます。
休日の公園には、若いファミリーが集まり
子供達の笑い声が聞こえます。
初老の夫婦は、木もれ陽のベンチに腰を降ろし
流れゆく白雲を、のんびりと眺めています。  

you tube 「私鉄沿線」

大きな時計台の有る村  S3  アクリル画

いつ誰が建てたのか村人達は知りません
時計守は何代も続いていますが そのいきさつについては
全く言い継がれていないのです

この時計台は高さ20メートル以上もあって
しかも標高300メートル程の頂に建っているので
四方八方近隣の村々のどこからでも 時間を知る事が出来ます 

時計台には時計守と言う 時を知らせる人が居ます
時計守は年令や性別を問わず 時計台が見える地域から
几帳面で人望が厚く責任感の強い人が選出されます 

選ばれたその人には 時計台のすぐ下に 自宅が準備されます
時計守は一日に4回キッチリと6時間おきに針を合わせ  
時を知らせる鐘を鳴らさなければなりません

時計台の内部には螺旋階段が有り その階段は100段にも及びます
上り下りで200段余り それを一日4往復しなければならないのです 

そして体力が続く限り一生の仕事となるのです
今この職務に就いている時計守は 9代目に当たります
40才の時に任され来年4月には80才になる 高齢の男性です

最近は階段の上り下りに少し限界を 感じ始めているらしく
ちょっと弱気な発言も聞こえて来ます
名誉有るこの仕事を全うしなければとの思いと
体力の衰えの狭間で迷っているのかもしれません

次の担い手にバトンを渡すタイミングが掴めないまま 
いちにちいちにちが過ぎて行きますが

本人はきっと この歴史をつなぐ仕事に携われる
自分に誇りと喜びを噛みしめながら 生きているのに違いないのです
一日でも長く勤まる事を願いつつ 毎日を送っているのだと思います

you tube 「大きな時計台の有る村」







切 り 絵
 Pub   S3   2021年制作  トワイライト   S3    2021年制作
Station  S20  2021年制作  New Sity   S3  2021年制作
 ファミファミ   S3   2021年制作  フレーフレー   S3   2021年制作
 北へ   S3  2021年制作  龍の忘れ物   S3  2021年制作
 ノイバラ   S3 2021年制作  パピリオ   S3  2021年制作


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